ヨークシャーテリアは、絹のように長く美しい被毛と、小さな体に似合わない勇敢で活発な性格が魅力の犬種です。「動く宝石」とも呼ばれ、日本でも家庭犬として高い人気を保っています。
一方で、世界最小級の小型犬として、気をつけたい健康上のポイントがあります。特に気管虚脱、膝蓋骨脱臼(パテラ)、そして肝臓の血管の異常である門脈シャントは、ヨークシャーテリアと暮らすうえで早めに知っておきたいテーマです。「小さくてかわいい」という印象だけで過ごすと、咳や歩き方、子犬期の成長や体調の変化に気づくのが遅れることがあります。
ヨークシャーテリアの健康を守るうえで大切なのは、小さな体と首に負担をかけない生活を心がけ、毎日の様子や成長をていねいに観察することです。病気を完全に防ぐことは難しくても、リスクを減らし、早く気づいて相談する習慣を持つことで、安心して長く一緒に暮らせます。
この記事では、ヨークシャーテリアがかかりやすいとされる病気の特徴と原因、気づきたいサイン、受診や予防の考え方、日常でできる健康管理、予防医療、年齢別の注意点、よくある質問まで、一般的な情報をもとにわかりやすく解説します。
⚠️ 本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。具体的な診断や治療方針は、必ず動物病院(獣医師)にご相談ください。症状や対応は個体によって異なります。

ヨークシャーテリアの健康の特徴
ヨークシャーテリアは比較的丈夫な犬種とされますが、気管、膝などの関節、肝臓(門脈シャント)、目、歯に注意したい犬種です。とくに門脈シャントは子犬期から見られることがあり、迎えた後の早い段階での気づきが大切になります。
ヨークシャーテリアの健康を守るうえで意識したいのは、次の3点です。
- 首に負担をかけない(首輪よりハーネスを検討)
- 滑りにくい床・段差対策で、膝への負担を減らす
- 子犬期の成長や食後の様子(ふらつき・元気)を観察する
体がとても小さいぶん、ちょっとした不調も体に大きく影響しやすい犬種です。「咳が出る」「歩き方が変」「食後にぼーっとする」といった小さなサインに早く気づくことが大切です。
かかりやすい病気① 気管虚脱
ヨークシャーテリアを含む小型犬で注意したいのが、気管虚脱です。空気の通り道である気管がつぶれて狭くなり、咳や呼吸の異常が起こる病気です。【出典:アニコム「みんなのどうぶつ病気大百科」】
気づきたいサイン
- ガーガー・ゼーゼーという咳をする(ガチョウの鳴き声のようと表現されることも)
- 興奮時や首が引っ張られたとき、暑いときに咳き込む
- 運動を嫌がる、呼吸が苦しそう、すぐ疲れる
対応・予防
予防・悪化防止には、首に負担をかけないことが大切です。散歩では首輪より、体で支えるハーネスを検討しましょう。肥満や暑さも負担を増やすため、体重管理と温度管理も意識します。興奮させすぎない、急に走らせすぎないことも負担の軽減につながります。咳が続く・苦しそう、舌の色が悪くなる場合は、早めに受診してください。

かかりやすい病気② 膝蓋骨脱臼(パテラ)
ヨークシャーテリアでも、膝のお皿が外れる膝蓋骨脱臼(パテラ)が見られることがあります。小型犬に多く、生まれつきの要因に加え、肥満や滑りやすい床、高い所からの飛び降りなどが負担を大きくします。【出典:アニコム「みんなのどうぶつ病気大百科」】
気づきたいサイン
- 急に後ろ足を上げる、ケンケン・スキップのような歩き方
- 後ろ足を気にする、運動や段差を嫌がる
- ひどくなると足を着けない・痛がる
対応・予防
程度には幅があり、判断は獣医師が行います。滑りにくいマットを敷く、体重を適正に保つ、ソファなどからの飛び降りを減らす、爪を伸ばしすぎないといった配慮が、予防・悪化防止に役立ちます。歩き方の変化に早く気づけるよう、普段の動きを見ておくことも大切です。
かかりやすい病気③ 門脈シャント(肝臓の血管の異常)
ヨークシャーテリアで気をつけたいのが、門脈シャントです。本来は肝臓で処理されるはずの血液が、肝臓を通らずにバイパスしてしまう血管の異常で、子犬期から症状が見られることがあります。【出典:アニコム「みんなのどうぶつ病気大百科」】
気づきたいサイン
- 体の成長が遅い、小さいまま、痩せている
- 食後にぼーっとする、ふらつく、よだれを流す
- 元気がない、嘔吐や下痢、けいれん・発作が見られることがある
対応・受診
これらの様子は、ほかの病気でも起こります。気になる様子が続く場合や、食後に元気がなくなる・ふらつくといったことが見られたら、自己判断せず早めに動物病院で相談しましょう。子犬を迎える際は、成長の様子や食後の体調を観察し、気になる点があれば早めに相談することが大切です。
かかりやすい病気④ 目の病気(PRA・乾性角結膜炎など)
ヨークシャーテリアでは、進行性網膜萎縮症(PRA)や、目が乾く乾性角結膜炎、白内障などの目の病気が見られることがあるとされています。暗い場所を嫌がる、ものにぶつかる、目を気にする、目やにが増える、目が乾いて見える、といった様子があれば、早めに相談しましょう。長い被毛が目にかかって刺激になることもあるため、目元の毛のケアも大切です。
かかりやすい病気⑤ 歯周病
ヨークシャーテリアは口が小さく歯が密集しやすいため、歯垢や歯石がたまりやすく、歯周病が起こりやすいとされています。口のにおい、歯石、歯ぐきの赤みや出血、食べづらそうにする様子に注意が必要です。歯周病は痛みや食欲低下につながるだけでなく、進行すると全身の健康にも影響するとされています。子犬のうちから歯みがきに少しずつ慣らし、デンタルケアを習慣にしておくと安心です。
長い被毛のお手入れのポイント
ヨークシャーテリアは絹のように細く長い被毛が特徴で、毛玉やもつれができやすい犬種です。日々のお手入れは、見た目を保つだけでなく、皮膚や体の変化に気づく健康チェックにもなります。
- ブラッシング:毛玉・もつれを防ぐため、こまめに。皮膚の赤みやしこりもチェック
- 目元・口元:涙や目やに、食べこぼしの汚れをやさしく拭き、清潔に保つ
- 足先・お尻まわり:汚れや蒸れに注意。長い毛は適度に整える
- トリミング:清潔と快適さを保ちやすい長さを、トリマーや獣医師と相談
お手入れを嫌がらないよう、子犬のうちから少しずつ慣らしておくと、ケアも通院もスムーズになります。
そのほか気をつけたい不調
上記のほか、ヨークシャーテリアでは、子犬期の低血糖(ぐったり・震え・ふらつき)、レッグ・カルベ・ペルテス病(若い小型犬の股関節の病気)、皮膚のトラブル、寒さによる体調の崩れなどにも注意が必要です。特に体の小さな子犬は低血糖を起こしやすいため、食事の間隔や様子に気を配りましょう。気になる変化があれば、早めに相談を。
こんな時はすぐに動物病院へ(受診の目安)
次のような様子が見られたら、できるだけ早めの受診をおすすめします。
- けいれん・発作、食後に強くふらつく・ぐったりする
- 子犬がぐったり・震える・反応が鈍い(低血糖の疑い)
- 咳や呼吸の乱れが続く、苦しそう、舌の色が悪い
- 急に足を着けない・強く痛がる
- 食欲が急になくなった、嘔吐や下痢が続く、成長が極端に遅い
判断に迷うときも、電話で動物病院に相談すると、受診のタイミングの目安になります。
予防医療と健康診断
- ワクチン接種・フィラリア予防・ノミダニ予防:感染症や寄生虫の予防を継続する
- 避妊・去勢:将来の病気予防や健康管理の観点から検討(時期は獣医師に相談)
- 定期健康診断:年1回以上を基本に、シニア期は半年に1回を目安に。気管・膝・肝臓・歯・目・体重の状態もあわせて確認
体が小さいぶん、異常の影響も大きくなりがちです。元気なうちの平常値を知っておくと、いざという時の比較がしやすく安心です。
ヨークシャーテリアの健康を守る日常のポイント
- 首にやさしい散歩:首輪よりハーネスを検討し、気管への負担を減らす
- 滑り・段差対策:マットを敷き、ソファなどからの飛び降りを防ぐ
- 被毛・目元のケア:こまめなブラッシングと目元の清潔で、皮膚・目の健康チェックも
- 体重管理:小さな体への負担を減らす。おやつは控えめに
- デンタルケア:歯周病予防に歯みがきを習慣に
- 温度管理:寒さにも暑さにも弱いので、室温に配慮する
- 定期健診:年1回以上、シニア期は頻度を上げる

年齢別に気をつけたいこと
- 子犬期(〜1歳ごろ):低血糖と門脈シャントに注意(成長・食後の様子)、滑り対策、社会化、ワクチン。被毛・歯のケアに慣らす
- 成犬期(1〜7歳ごろ):体重管理、気管・膝・歯・目のケア、定期健診。咳や歩き方の変化に注意
- シニア期(7歳ごろ〜):気管や関節、歯、目のトラブル。健診の頻度を上げ、温度・段差対策を見直す
よくある質問(FAQ)
Q. ヨークシャーテリアに首輪とハーネス、どちらがいい?
気管への負担を考えると、首が締まりにくいハーネスがすすめられることが多いです。体に合ったものを選びましょう。
Q. 子犬が食後にぼーっとします。大丈夫?
低血糖や門脈シャントなどの可能性もあります。食後のふらつき・元気消失が見られる場合は、自己判断せず早めに動物病院で相談してください。
Q. ガーガーという咳をします。
気管虚脱の可能性があります。首に負担をかけない、興奮させすぎない、体重・温度を管理するなどの配慮をしつつ、咳が続く場合は受診しましょう。
Q. 毛玉ができやすいです。
細く長い被毛は毛玉になりやすいため、こまめなブラッシングがおすすめです。長さの調整やケア方法は、トリミングの際に相談すると安心です。
Q. 寒がりですか?
体が小さく寒さに弱い傾向があります。冬は室温や寝床の保温に配慮しましょう。暑さにも弱いので、夏の温度管理も大切です。
まとめ
ヨークシャーテリアは、小さな体と長い被毛ならではの健康管理が大切な犬種です。
- 気管虚脱に注意。首にやさしいハーネスを検討
- 膝蓋骨脱臼(パテラ)が見られることがある。滑り対策と体重管理を
- 門脈シャントは子犬期から見られることがある。成長や食後の様子に注意
- 目の病気・歯周病にも注意
- 子犬期の低血糖、寒さにも気をつけたい
- 首・滑り・体重・被毛・歯のケアと定期健診が予防の基本
ヨークシャーテリアと長く健やかに暮らすには、「首と膝にやさしい環境」と「成長・体調の観察」がカギです。気になるサインがあれば、自己判断せず、早めに獣医師へ相談しましょう。
ヨークシャーテリアの性格や特徴については別記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。


