ソマリは、アビシニアンから生まれた長毛の猫です。体つきも、毛色も、気質も、アビシニアンとほとんど同じ。違うのは被毛の長さだけ——と言ってしまえるほど、この2つの猫種は近い関係にあります。
しかしソマリは、最初から歓迎された存在ではありませんでした。アビシニアンの繁殖の中で時折生まれてくる長毛の子猫は、長いあいだ基準から外れた個体として扱われてきました。
その「予定外の毛」に価値を見いだし、独立した猫種として確立させたのが、一人のブリーダーです。そして猫種名には、少し洒落の効いた名前が選ばれました。
この記事では、ソマリという猫種がどう生まれ、長毛になることでティックドコートがどう変わり、アビシニアンと何が違うのかを、猫種団体の情報をもとに解説します。

ソマリの基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 成立 | アビシニアンの長毛種として |
| 被毛 | 中程度の長毛(絹のような手触り) |
| 体型 | 中型・筋肉質 |
| 毛色 | ラディ/シナモン/ブルー/フォーン |
| 目 | アーモンド形(グリーンまたはカッパー) |
| CFA公認 | 1976年登録開始/1979年チャンピオンシップ |
【出典:CFA「Somali」】
CFAは、ソマリの動きを「つま先立ちで素早く動き、豊かな尾を高く掲げる」と表現し、その姿をキツネにたとえています。ふさふさとした尾と、ややとがった顔立ち、大きな耳——たしかにキツネを思わせるシルエットです。
名前は「アビシニアの隣」からきた
この猫種の名前には、由来があります。
ソマリを猫種として確立させたのは、アメリカのブリーダー、イヴリン・メイグです。1960年代半ばに本格的な繁殖に取り組み、記録に残る初期の長毛アビシニアンのひとつ「ジョージ」を送り出しました。
彼女がこの猫種につけた名前が「ソマリ」。由来は東アフリカの国ソマリアです。
ここが洒落ています。ソマリアは、エチオピア(旧称アビシニア)と国境を接する隣国です。つまり——
アビシニアン = アビシニア(エチオピア)の猫ソマリ = その隣の国の猫
「アビシニアンの隣に位置する猫種」という関係性が、そのまま名前になっているのです。血縁の近さを、地理で表現した命名といえます。
なお、前回のアビシニアンの記事で触れたとおり、アビシニアンの実際のルーツはエチオピアではないとされています。名前の由来はあくまで当時の呼称に基づくもので、ソマリの起源がソマリアにあるわけではありません。
戦後の12頭——長毛はどこから来たのか
ソマリの長毛が、いつアビシニアンの血統に入ったのか。CFAは「記録がない」としています。
ただし、有力な推測があります。
第二次世界大戦後、アビシニアンはわずか12頭ほどしか生き残らなかったという推定があるのです。戦争によって繁殖は中断され、多くの猫が失われました。
この極端に少ない頭数から犬種を再建する過程では、遺伝的に不安定な状態が生じます。長毛は劣性の形質なので、両親がともに遺伝子を持っていなければ現れません。頭数が減り、限られた個体同士で繁殖が繰り返されたこの時期に、隠れていた形質が表面化した——という説明が成り立ちます。
いずれにせよ、その後アビシニアンの出産では、時折長毛の子猫が生まれるようになりました。ただし当初、それは望ましくない個体として扱われます。
猫種として認められるまで
1960年代半ば、イヴリン・メイグはこの長毛個体に価値を見いだし、猫種として確立する取り組みを始めます。
しかし公認への道のりは平坦ではありませんでした。CFAがソマリの登録を開始したのは1976年、そしてチャンピオンシップの資格を得たのは1979年です。メイグが取り組みを始めてから、10年以上が経っていました。
「基準外の個体」が「独立した猫種」になるまでには、それだけの時間と説得が必要だったということです。

長毛になると、ティックドコートはこう変わる
アビシニアンの記事で説明したとおり、この系統の被毛は「ティックドコート」です。1本の毛に、明るい色と濃い色の帯が交互に入っています。
では、その毛が長くなるとどうなるか。
1本の毛に入る色の帯が、より多く、はっきりと見えるようになります。 CFAはソマリの被毛を「きらめくような、野生的な見た目」と表現しています。短毛のアビシニアンより、色の層が深く感じられるのはこのためです。
被毛の長さは体の部位で異なります。
- 首まわり(ラフ):襟のように豊かに
- 腹、後脚の毛(ブリーチズ):長め
- 尾:もっとも長い——だからキツネのような印象になる
4つの毛色と、ティッキングの色
CFAが認めるソマリの毛色は、アビシニアンと同じ4色です。それぞれ、地色とティッキング(帯)の色の組み合わせが定められています。
| 毛色 | 地色 | ティッキングの色 |
|---|---|---|
| ラディ | バーントシエナ(赤褐色) | 濃い茶または黒 |
| シナモン | 温かみのある赤 | チョコレートブラウン |
| ブルー | 温かみのあるベージュ | スレートブルー |
| フォーン | ローズベージュ | 淡いココアブラウン |
毛色による性格の違いを示す根拠はありません。
アビシニアンとの違い
迎えるうえで気になる、2つの猫種の比較です。
| ソマリ | アビシニアン | |
|---|---|---|
| 被毛 | 中程度の長毛 | 短毛 |
| 尾 | ふさふさ(キツネ状) | すっきり |
| 体型 | 中型・筋肉質 | 中型・筋肉質(ほぼ同じ) |
| 毛色 | 4色(同じ) | 4色(同じ) |
| 気質 | 活発・好奇心旺盛 | 活発・好奇心旺盛(ほぼ同じ) |
| 手入れ | 週1回のコーミング | 週1〜2回のブラッシング |
気質はほぼ同じと考えて差し支えありません。CFAも両者を同じ言葉——「忙しく、活動的で、自分の予定を持ち、愛情深い」——で表現しています。
選ぶ基準は、見た目の好みと、わずかな手入れの差です。

手入れは、見た目ほど大変ではない
「長毛猫=手入れが大変」というイメージがありますが、ソマリについてCFAは最小限の手入れで済むとしています。
理由は被毛の質です。ソマリの毛は毛玉やもつれになりにくい性質を持っています。ペルシャのような密で綿状の下毛ではなく、絹のような手触りの毛が、絡まりにくい構造をしているためです。
週1回のコーミングで、抜け毛を取り除き、換毛期の毛の飛散をある程度抑えられるとされています。
入浴も通常は必要ありません。ただし被毛が脂っぽくなりやすい個体では、毛が束になるのを防ぐために時折入浴させるとよい場合があります。
長毛種を迎えたいけれど手入れの負担が心配、という方にとって、ソマリは現実的な選択肢になります。
水に魅了される猫
ソマリには、面白い特徴があります。水に強い関心を示すのです。
CFAは、ソマリが「水に魅了される」とし、蛇口をひねって水滴が落ちるのを眺めることがあるとまで記しています。
多くの猫は水を避けますが、この猫種は違います。流れる水、揺れる水面、滴る雫——動く水は、好奇心旺盛なソマリにとって格好の観察対象なのでしょう。
飼い主としては、次の点に留意してください。
- 洗面所やキッチンの水回りで遊ぶ可能性がある
- 蛇口を操作できる個体もいる(水の出しっぱなしに注意)
- 一方で、循環式の給水器は喜んで使うことが多い
猫は一般に水分摂取が不足しがちで、それが尿路のトラブルにつながることがあります。水への関心が高いことは、飲水量を確保するうえでは利点にもなります。

気質——アビシニアンと同じ、けれど
CFAはソマリの気質について、アビシニアンと共通する活動性を挙げつつ、こう補足しています。「バランスの取れた気質の中に、とても優しい面を見せる」
具体的には、頭を擦りつける「頭突き」や、前足でふみふみする仕草で愛情を表現します。飼い主が部屋を移動すればついて回り、家庭の活動レベルに合わせて自分のエネルギーを調整するところもあるとされています。
また、戸棚の開け方を覚えるほどの知能を持ちながら、おもちゃがあれば長時間ひとりで遊べるという一面もあります。常に構い続けなければならない猫種ではありません。
よくある質問(FAQ)
Q. ソマリとアビシニアン、どちらを選べばいいですか? 気質はほぼ同じなので、被毛の見た目の好みで選んで問題ありません。手入れの手間もほとんど変わりません。ふさふさの尾に惹かれるならソマリ、すっきりした短毛が好みならアビシニアンです。
Q. 長毛だと抜け毛が多いですか? 長毛種としては手入れしやすい部類ですが、抜け毛がないわけではありません。週1回のコーミングを習慣にしましょう。
Q. 運動量はどのくらい必要ですか? アビシニアンと同様、活動的な猫種です。キャットタワーなど縦の空間と、飼い主が関わる遊びの時間を確保してください。
Q. 水遊びは止めさせるべきですか? 危険がなければ、無理に止める必要はありません。ただし蛇口の出しっぱなしや、浴槽への転落には注意してください。給水器を用意すると、安全に関心を満たせます。
Q. 毛色はどれが人気ですか? アビシニアンと同様、ラディがもっとも一般的です。ただし4色いずれも同じ猫種で、性格に差はありません。
まとめ
ソマリは、「予定外の毛」から生まれた猫種です。
- アビシニアンの長毛種として成立した猫種
- 名前は、アビシニア(エチオピア)の隣国ソマリアから。血縁の近さを地理で表現した命名
- 長毛遺伝子の由来は不明。戦後わずか12頭ほどしか残らなかった時期に表面化した可能性
- 当初は基準外の個体扱い。1976年CFA登録、1979年チャンピオンシップまで時間を要した
- 長毛になることで、1本の毛の色の帯がより豊かに見える
- 毛色は4色。アビシニアンと同じ
- 長毛だが手入れは最小限。毛玉になりにくく、週1回のコーミングで足りる
- 水に強い関心を示す。蛇口を操作する個体も
かつて「基準に合わない」とされた特徴が、いまや猫種の代名詞になっている——ソマリは、その経緯まで含めて面白い猫です。
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アビシニアンの性格と特徴で解説しています。フード選びは猫のキャットフードの選び方をご覧ください。
体調や行動で気になることがあれば、かかりつけの獣医師に相談してください。



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