パグは、くしゃっとしたしわの多い顔と、くるんと巻いたしっぽが印象的な小型犬です。愛嬌たっぷりの表情と、どこかコミカルな仕草で、古くから多くの人に親しまれてきました。
見た目のユニークさに目が向きがちですが、犬種標準では「威厳と理解力がある」と表現されており、実際は落ち着いた気質を持つ犬種です。小さな体に、しっかりとした筋肉と骨格が詰まっています。
一方で、「おとなしそう」「小さいから飼いやすそう」という印象だけで迎えると、暑さへの弱さ、しわのお手入れ、抜け毛の多さで戸惑うことがあります。パグの特徴的な顔立ちは、そのまま日々のケアの中身に直結します。
この記事では、パグの基本プロフィール、歴史、性格の特徴、オスメスや毛色による違い、飼いやすさ、迎える前に知っておきたい注意点まで、犬種団体の情報をもとにわかりやすく解説します。

パグってどんな犬?基本プロフィール
パグは、ジャパンケネルクラブ(JKC)の分類では「9G:愛玩犬」に属する小型犬です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 原産国 | 中国 |
| グループ | 9G:愛玩犬 |
| 体重 | 6.3〜8.1kg(理想) |
| 毛色 | シルバー、アプリコット、フォーン、ブラック |
| 被毛 | 短毛 |
| 用途 | コンパニオン・ドッグ |
【出典:ジャパンケネルクラブ「パグ」】
犬種標準では、体つきはコンパクトでスクエア(正方形に近い体型)と定められており、「小さくても内容は豊富」と表現されています。小型犬の中では筋肉質で、抱き上げると見た目以上にずっしりとした重みがあります。
毛色にはシルバー、アプリコット、フォーン、ブラックがあり、ブラック以外の毛色では、耳や口まわりの「マスク」と呼ばれる黒い部分とのコントラストがはっきりしていることが望ましいとされています。
パグの歴史と日本での位置づけ
パグの起源は古代中国にさかのぼるとされています。中国では鼻の短い小型犬が古くから珍重されており、宮廷や寺院で大切に飼育されてきました。
16世紀ごろにオランダの東インド会社によってヨーロッパへ渡り、オランダ王室で愛されるようになります。その後イギリスやフランスの貴族社会にも広がり、ヨーロッパ各地で人気を集めました。19世紀のイギリスでは、ヴィクトリア女王がパグを愛好したことでも知られています。
日本には明治期以降に紹介され、現在では小型で室内飼育に向く犬種として定着しています。独特の表情がメディアや広告に起用されることも多く、犬種としての知名度は非常に高いといえます。
パグの性格の5つの特徴
①愛嬌があり、人を楽しませる
犬種標準に「かなりの愛嬌がある」と明記されているほど、パグの魅力は表情豊かなところにあります。家族の注目を集めるのが好きで、ユーモラスな仕草で場を和ませることがあります。
人と過ごす時間を好むため、家族の輪の中で暮らすことに向いた犬種です。
②穏やかで安定した気質
犬種標準では「安定した性格」と表現されています。感情の起伏が激しくなく、日常の出来事に対して落ち着いて対応できる個体が多い傾向があります。
来客や物音に過剰に反応しにくく、無駄吠えも比較的少ない部類とされます。集合住宅での飼育を考えている場合、これは大きな利点です。
③理解力があり、しつけに応じる
「威厳と理解力がある」とされるとおり、状況を判断する賢さを持っています。飼い主の言葉や様子をよく見ており、根気よく教えれば基本的な指示は身につきます。
ただし、頑固な一面を見せることもあります。強く叱るより、うまくいったときにしっかりほめる方法のほうが向いています。
④愉快で活発な一面もある
穏やかである一方、犬種標準には「愉快で、活発」とも記されています。若いうちは特によく遊び、走り回ることもあります。
「一日中寝ている犬」というイメージとは異なり、遊びの時間はしっかり必要です。ただし短頭種のため、激しい運動を長時間続けるのは負担になります。
⑤子どもや他のペットとも過ごしやすい
穏やかでフレンドリーな気質から、小さな子どもや他の動物とも比較的うまく過ごせる傾向があります。攻撃性が出にくい犬種とされています。
ただし個体差はあり、社会化の経験によっても変わります。子犬のうちからさまざまな相手に慣らしておくことが大切です。

オスとメスで性格は違う?
一般に、パグのオスは甘えん坊で活発、メスは落ち着いていて自立している傾向があるといわれます。
ただし、この差はあくまで傾向にすぎません。性格を決めるのは、生まれ持った気質、子犬期の社会化、育った環境、飼い主との関わり方であり、性別の影響はそれほど大きくありません。
「オスだから」「メスだから」と決めつけず、実際にその子の様子を見て判断しましょう。避妊・去勢手術によって行動が落ち着くこともあります。
毛色による性格の違いはある?
パグの毛色は、シルバー、アプリコット、フォーン、ブラックの4種類が認められています。日本ではフォーン(明るい茶色にマスク)がよく見られ、次いでブラックが多い印象です。
毛色によって性格が変わるという科学的な根拠はありません。 「黒パグは活発」といった話を耳にすることもありますが、これは印象や個別の経験にもとづくもので、犬種として実証されたものではありません。
なお、ブラックのパグはマスクとの色の境目がないぶん、表情の印象が変わって見えます。これは見た目の違いであって、気質とは無関係です。毛色は好みで選び、性格はその子個体を見て判断しましょう。
パグに向いている家庭
これまでの特徴をふまえると、パグは次のような家庭と相性がよい犬種です。
- 室内でゆったり過ごしたい家庭:激しい運動につきあう必要がありません
- 室温をきちんと管理できる家庭:夏場のエアコン管理が前提条件になります
- 小さな子どもや他のペットがいる家庭:穏やかな気質で衝突が起きにくい傾向があります
- 静かな環境を保ちたい家庭:無駄吠えが比較的少ない部類です
反対に、夏に室温を管理できない環境や、一緒に長時間アウトドアで活動したい人には向きません。パグは短頭種のため暑さに極端に弱く、この点だけは工夫ではカバーしきれない部分があります。
子犬期からシニア期までの変化
子犬期(〜1歳ごろ) 好奇心が旺盛で、よく動く時期です。この時期に顔のしわ拭き、爪切り、歯みがきに慣らしておくと、生涯のケアがぐっと楽になります。パグは顔まわりを触られることが多い犬種なので、早い段階で「触られても平気」を作っておきましょう。
成犬期(1〜7歳ごろ) 落ち着きが出てくる一方、もっとも太りやすい時期でもあります。食欲旺盛な個体が多く、体重の増加は呼吸や関節への負担に直結します。おやつを含めた1日の総量を管理し、定期的に体重を測る習慣をつけましょう。
シニア期(7歳ごろ〜) 活動量が落ち、寝ている時間が増えます。呼吸の負担が年齢とともに大きくなることもあるため、いびきや呼吸音の変化には注意してください。目のトラブルも起きやすくなる時期です。
シニア期は半年に1回を目安に健康診断を受けると、変化に早く気づけます。
パグは飼いやすい?迎える前に知っておきたい3つのこと
①短頭種で、暑さに非常に弱い
パグはマズルが極端に短い短頭種です。短頭種は鼻から喉までの空気の通り道が狭く、体温調節が苦手とされています。パグはその中でも特に注意が必要な犬種です。
夏場はエアコンで室温を管理し、散歩は早朝や夜の涼しい時間に短めに行いましょう。日中の外出、車内での留守番は避けてください。
呼吸が荒く戻らない、ぐったりしている、舌の色が悪いといった様子は緊急のサインです。自己判断せず、すぐに動物病院を受診してください。
②顔のしわのお手入れが必要
パグの特徴である顔のしわは、汚れや水分がたまりやすい構造です。放置すると皮膚が蒸れ、においや炎症の原因になることがあります。
やわらかい布やコットンで、しわの内側を優しく拭き取る習慣をつけましょう。強くこすると皮膚を傷つけるので、押さえるように拭くのがコツです。拭いたあとは水分を残さないようにします。
赤み、におい、かゆがる様子が見られたら、早めに獣医師に相談してください。
③短毛だが抜け毛はとても多い
「短毛=抜け毛が少ない」と思われがちですが、パグは抜け毛の多い犬種です。密に生えた短い毛が年間を通して抜け、換毛期には特に増えます。
短い毛は衣類や布製品に刺さりやすく、掃除の手間も相応にかかります。週に数回のブラッシングで抜け毛を減らし、こまめに掃除する前提で迎えましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. パグは初心者でも飼えますか? 穏やかで無駄吠えも少なく、性格面では初心者に向く犬種です。ただし夏場の温度管理としわのお手入れは必須なので、そこを続けられるかが判断のポイントになります。
Q. いびきをかくと聞きましたが大丈夫? 短頭種の構造上、いびきや荒い呼吸音はよく見られます。ただし「いつもと違う」「起きているときも苦しそう」といった変化は注意が必要です。気になる場合は動物病院で相談してください。
Q. 散歩はどのくらい必要ですか? 1日2回、各20分程度が目安です。ただし夏場は時間帯と地面の熱さに特に注意し、短めに切り上げてください。運動不足は肥満につながるため、涼しい季節はしっかり歩かせましょう。
Q. 太りやすいと聞きましたが本当ですか? 食欲旺盛な個体が多く、体重管理が課題になりやすい犬種です。肥満は呼吸の負担を増やすため、パグにとっては特に避けたい状態です。おやつの量を含めて管理しましょう。
Q. 留守番はできますか? 穏やかな気質で留守番自体は可能です。ただし夏場はエアコンを切らないことが絶対条件になります。停電や設定温度にも注意してください。
まとめ
パグは、愛嬌と落ち着きを併せ持つ、室内向きの小型犬です。
- 原産国は中国、JKCの分類は9G:愛玩犬
- 体重6.3〜8.1kg、コンパクトでスクエアな体つき
- 愛嬌があり、安定した性格。無駄吠えも比較的少ない
- 毛色は4種類あるが、毛色と性格に関係はない
- 短頭種で暑さに非常に弱い——夏の温度管理は必須
- 顔のしわのケアが必要、短毛でも抜け毛は多い
温度管理とお手入れの手間さえ受け入れられれば、穏やかで一緒にいて楽しい犬種です。特に夏の対策は命に関わる部分なので、迎える前に住環境を確認しておきましょう。
体調で気になることがあれば、自己判断せず、かかりつけの獣医師に相談してください。



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